沖合底びき網漁業
沖合底びき網漁業とは
沖合底びき網漁業とは、漁船2隻が一組(1ヶ統)となり、萩市見島沖合から長崎県対馬周辺までの海域で操業する底びき網漁業です(操業区域が東経128度以東であることから、以東底びき網とも呼ばれています)。
現在、下関漁港を根拠地として、6ヶ統(12隻)が操業中で、アンコウのほか、アカムツ(のどぐろ)、ヒラメ・カレイ類、タイ類などを中心に水揚げ量3,621トン、水揚げ金額27億7,186万円の実績となっています(令和5年)。
下関おきそこの魚類
あんこう
水揚げ日本一を誇る、下関漁港あんこうです。下関おきそこでの令和5年の水揚量は229トンです。
下関漁港で獲れるあんこうは、正式名称がアンコウ目アンコウ科キアンコウ属に属する「キアンコウ」がほとんどです。歯と背骨以外(背骨は出汁取りに使用できます)はすべて食材になり、それらの部位をまとめて「あんこうの七つ道具」と言います。
下関おきそこでは、「船上で、胃を切り開き、内容物を取り出し、海水で洗浄する」、「口から海水を入れて胃の内容物を洗い流す」などを行って、鮮度を保つようにしています。新鮮なあんこうはお腹が白いので、水揚げの際には鮮度を確認してもらうため、「お腹を上にして市場に並べます」。
また、下関おきそこの水揚げは毎日ではありませんので、新鮮なあんこう料理をお店で食べていただくためには、是非お問い合わせ、ご予約されることをお勧めします。
さらに、ご家庭であんこう料理をお楽しみいただく際には、
ポイント1 肝を使われる場合は、必ず下処理を行う。
ポイント2 臭いが気になる場合は、具材を身が白くなる程度に湯引きし、水気を取ってから調理する。
ポイント3 あんこうの身は85%が水分ですので、これを考慮して味付けを行う。
の3点に気を付けて調理されてください。 下処理については「あんこうの七つ道具の簡単な下処理」もご参照ください。
なお、cookpad様内「下関おきそこのキッチン」に今までの料理コンクール作品を掲載させていただいておりますので、こちらもぜひご覧ください。
ちなみに、10月から2月に下関漁港で水揚げされた2kg以上のあんこうを「下関漁港あんこう」としてやまぐちブランドに登録しています。
また、「ふく」、「くじら」、「うに」、「いか」、と並んで「あんこう」は、「下関市水産物5大ブランド」にも加えられています。
あんこうの七つ道具
柳肉(身肉、頬肉)…低脂質、白身で淡泊。頬肉は特にプリプリ。
皮 …コラーゲン豊富。友酢が代表的な一品料理。
胃袋 …こりこりとした食感。調理実習の高校生に大人気でした。
肝 …脂質はトロの約2倍、下処理が大事。
とも(ひれ) …軟骨は火を良く通せば、食べられますが、身だけ食べても大丈夫です。
ぬの(卵巣) …平板状のため、そう呼ばれます。
えら …普通の魚では食べませんが、鍋の具材に使います。
キダイ(連子鯛)
通称「連子鯛」。「レンコ」とも呼ばれます。下関漁港での令和5年の水揚量は916トン。
正式名称は、「キダイ」。スズキ目スズキ亜目タイ科に属する魚です。
見た目は鯛そのものですが、鼻から上顎にかけて黄色く、背鰭に沿って3対の淡い黄色斑があります。また、鼻孔周辺がへこんでいて、口が前方に突き出ているように見えます。この特徴から「鼻折鯛」という呼び名もあります。
結婚式の折詰の「鯛のお頭付」に使用されることが多いことでも有名です。
連子鯛の産卵期は年2回あり、下関おきそこでは6月と10月頃と言われていますので、その前の4,5月、8,9月が比較的粗脂質量が高い(それでも5%程度ですが)時期となります。
真鯛より安価で身が柔らかく、癖のない白身魚で、まさに「煮ても焼いても美味しい」お魚です。
購入される際には、「体色が鮮やかなもの」、「目に透明感のあるもの」をお選びください。
平成26年度から平成29年度まで、料理コンクールを開催させていただき全214作品をご応募いただきました。
cookpad様内「下関おきそこのキッチン」で応募作品を公開させていただいています。
重要)厚生労働省は、キダイを妊婦が摂食量を注意すべき魚介類の一つとして挙げており、2005年11月2日の発表では、1回に食べる量を80gとした場合、キダイの摂食は週に2回まで(1週間当たり160g程度)を目安としています。
アカムツ(のどぐろ)
アカムツ(通称のどぐろ)。今では、通称の方が一般的かもしれません。アカムツだけの統計は残念ながらとっていませんが、下関漁港でのアカムツを含んだムツの令和5年の水揚量は439トンです。
下関おきそこのアカムツの特徴としては、シーズン開始から9月頃が一番水揚量が多く、また、9月から10月の産卵期の前のため、脂がのっているという2点があげられます。
下関おきそこのアカムツの粗脂肪量は15~30%で、年間を通して美味しいのですが、この時期は産卵を控えて20~25%の粗脂肪量になります。
のどくろの名前はそのとおり、「口の中がのどまで(実は胃も)黒い」からですが、正式名称のアカムツも脂っこいことを意味する「むつっこい」からきており、スズキ目ムツ科の「ムツ」や「クロムツ」とは別の、スズキ目スズキ亜目ホタルジャコ科に属している別種なのですが、赤くてムツのように脂っこいことから「アカムツ」と命名されたといわれています。
大きいものほど粗脂質量も高いといわれていますので、購入される場合は25cm程度以上のものをお勧めします。逆に脂質が少なめのほうがお好みの場合は、小さめをお求めいただくと、値段もお求めやすいと思います。
また、初めて調理される場合は、塩焼きにされてみてはいかがでしょう。魚販店さんで、内臓と鱗をとってもらい、あとは多めに塩を振って焼くだけです。中火でじっくり両面を焼きましょう。とても身離れのよいお魚です。大人の方は、お好きなお酒と一緒に、ぜひ一度お試しください。